1978年3月24日と25日の2日間、小林ハルは東京国立小劇場で、瞽女唄を披露している。「万歳と春駒」という統一タイトルの元での演奏なので、当然万歳を歌うわけだが、他に祭文松坂も唄っている。長岡四郎丸組瞽女・土田ミス(1908-78)[註*]が公演直前に亡くなっているので、急遽、小林ハル(太夫)・土田ミス(才蔵)の録音による万歳も流されている。
「瞽女ふたたびの道」掲載の瞽女研究家・鈴木昭英、小林ハル研究家・野嵜久次が作成した「小林ハル年譜」の両方にこのことの記載が無いのは不思議である。ちなみに、三条市ホームページの<名誉市民>の項には、「祝福芸の系譜「万歳と春駒」に出演し、瞽女万歳「柱立て」を公演(昭和53年東京・国立劇場)。」とある。
と、いうことで少し細かいが、両日の小林ハルが唄った演目等について記載しておく。
公演名称:
公演名:祝福芸の系譜「万歳と春駒」(第27回民俗芸能公演)/第二部 瞽女の万歳
開催日:1978年3月24日〜25日
会場:国立劇場小劇場
出演者:小林ハル 社会福祉法人愛光会 胎内やすらぎの家(新潟県北蒲原郡黒川村)
演目:
・正月祝い口説
・万歳
経文(24日) 14分
柱立(25日) 10分
・万歳(録音) 3分
太夫 小林 ハル
才蔵 土田 ミス
・瞽女松坂
・祭文松坂
葛の葉子別れ (24日) 13分
・祭文松坂
小栗判官照手姫(25日) 12分
国立劇場 文化デジタルライブラリー(民俗芸能の項)より
[註*]土田ミスの生没年は、『瞽女と瞽女唄の研究』ジェラルド・グローマー著 P.400より