長岡瞽女は、毎年旧暦3月7日、新暦になって4月17日、大工町(現日赤町)の瞽女屋で妙音講を開いていました。歌芸人である瞽女たちが音曲の神である弁財天を祭るお講です。しかし、昭和20年8月1日夜、長岡が米軍機の空襲を受けたとき、瞽女屋も消失し、それ以来開かれませんでした。「瞽女唄ネットワーク」は平成7年に瞽女唄教室を開き、瞽女唄を伝承する方が出ましたので、翌8年に唯敬寺本堂を会場にお願いして50年ぶりに再現、復活いたしました。それが今も行われている妙音講です。
「瞽女御条目」は、瞽女の元祖は平安時代初めの嵯峨天皇の皇女相模宮(さがみのみや)姫だとする瞽女縁起や瞽女の守るべき規約、掟などを書いた式目(条目)で構成されています。
瞽女屋の妙音講では、唯敬寺御住職が出向いて、瞽女頭山本ゴイの先祖(牧野長岡藩主の息女で照姫と称したとの伝えがあります)にお経を上げ、一同に御条目を読み聞かせました。その後、山本ゴイと地方在住の重立(おもだち)師匠数人が紋付を着て、弁財天に京唄(地唄)の「桜づくし」と「行く春」の2曲を奉納しました。復活した妙音講では「桜づくし」を奉納しています。妙音講が桜の花の咲く時期に行われたので、この曲が選ばれたようです。
▼妙音講のわかりやすい説明はこちら
今回は、妙音講のプログラムに従って、瞽女唄ネットワーク会長の挨拶と瞽女唄の解説、会場の皆さんでの読経、唯敬寺ご住職による瞽女式目の朗誦、瞽女唄の唄上げ等々と、臨場感そのままに順に紹介いたします。 唄上げの1番目、横川恵子さんによる小唄「梅は咲いたか」は、録音に失敗しましてアップできませんでした。撥を使わず爪弾きで歌われる小粋な江戸小唄でしたが、申し訳ありません。 |
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演 目 ・ 解 説 | 出 演 者 |
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ご挨拶 瞽女唄ネットワーク開設以来会長を務める鈴木昭英氏のご挨拶と妙音講の解説です。大変分かりやすいと好評です。 |
話:鈴木昭英(当会会長) 妙音講解説 を聴く 9分03秒 mp3(8.29MB) |
読経 本日お集まりの皆様と唯敬寺ご住職が、浄土真宗「正信偈」を読み上げます。 |
唯敬寺住職とご参集の皆様 正信偈読経 を聴く 19分20秒 mp3(17.7MB) |
瞽女式目 瞽女の由来と戒律や掟を記した御条目を唯敬寺三条正憲住職が格調高く謳いあげます。瞽女は由緒ある職業で、普通の農民とはちがうのだという職業の自覚を持たせるために作られたといわれています。 |
朗誦:三条正憲・唯敬寺住職 ご条目朗誦 を聴く 8分52秒 mp3(8.13MB) |
京唄 桜づくし この妙音講では「桜づくし」のみを奉納しています。この曲は江戸前期の地唄(上方唄・京唄)の演奏家・作曲家で長唄の創始者として江戸で活躍した佐山検校(-1694)の元禄時代の作品です。妙音講が桜の花の咲く頃行われたので、この曲が演奏されたようです。桜づくめの文句で、多様多彩な桜の名前がたくさん出てくるめでたい唄です。 |
唄:横川恵子・金川真美子 京唄 桜づくし を聴く 18分19秒 mp3(16.7MB) |
祭文松坂/葛の葉子別れ 和泉の国信太森(しのだのもり)の白狐が安倍保名(あべのやすな)と契って夫婦になり、間に出来た子が陰陽師(おんみょうじ)の安倍晴明だという伝説を脚色したもの。近世初期に浄瑠璃や歌舞伎に上演されて普及。享保19年(1734)、竹田出雲が浄瑠璃『芦屋道満大内鑑』を書いて集大成しましたが、瞽女唄の「葛の葉子別れ」は、これに基いて作成されています。 瞽女さんはこの唄を一節ごとに交代で歌いました。瞽女唄継承グループだからできる、本来の瞽女唄の姿をお聴きください。 |
唄:室橋光枝・須藤鈴子 葛の葉子別れ を聴く 31分35秒 mp3(28.9MB) |
(瞽女唄に触れてみよう) 唯敬寺ご住職のご発案。妙音講にお集まりの皆さんで、ご存知「葛の葉子別れ」の一節を歌ってみようという趣向。♪もしもし亀よ…も瞽女唄になる? |
指導:金川真美子 葛の葉子別れ を聴く 14分22秒 mp3(13.1MB) |
民謡 鴨緑江節 鴨緑江は北朝鮮と中国東北部国境を流れる川。鴨緑江節はその川で筏師が歌っていた歌。日本で大正8年から流行。瞽女も歌い、たくさんの替え唄が作られて民謡の表看板の一つとなりました。 |
唄:金川真美子 鴨緑江節 を聴く 2分58秒 mp3(2.72MB) |