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富川蝶子さんのむかし話「ぼたもち食わん」

「ぼたもち食わん」 mukasi


富川蝶子

ぼたもち食わん

富川 蝶子

 あったてんがの。むかしあるどこへ小んこいお寺があって和尚さんと小僧さが住んでいたっての。ある日のこと檀家の人からぼたもち三つもろうたってんがの。
一つは本尊様へ上げて、和尚さんと小僧が一つづつ食ったっての。ばっかうめいんだんが小僧はもう一つのを「食いていな食いていな。」と思うていたってんが、とうとうがまんできのうなって、こっそり食ってしもうて、和尚さんに叱られるとわりいんだんが本尊様の口の端にあんこをつけて、かずけておこうやと思うたども手がつづかねぇんだんが、その隣にいらっしゃる金仏様の口にくっつけておいたっての。いいかんめいたら和尚さんが
「小僧こぞう、ぼたもちさげてこいや。」
 と、言わっしゃるってんがの。小僧は
「ハーイ。」
 と、本堂の方へ行ったっけがでっこい声で
「あいやぁ、和尚さま ぼたもち金仏さまが食わしたげだいの。」
 と、言うたと。
「何だって、金仏さまがぼたもち食わしたってぇ。そんげことが何あろうばや。」
 と、和尚さまも本堂へとんでこらしたってんがの。小僧が
「ほれの。金仏さまの口にあんこがついているがんに。」
 と、言うたと。和尚様が、
「小僧、小僧、んなてまえで食うてあんこを金仏さまにくっつけてかずけているがんだろう。」
 と、言われるんだんが、
「いいえの。和尚様おら食わんでの。そうせば金仏さまに聞いてみよかの。」
 と言うてそこらから棒を持ってきて
「金仏さま 金仏さま、おまえさんぼたもち食ったろうがの。」
 と、言いながらたたいたってんがの。そうしたら
「くわん。くわん。」と音がするっての。
「それみれ。くわんくわんと言うていらっしゃるど。」
 と、和尚さまが言われるすけ小僧が
「いいや、食ったにちがいねえがんだ。」
 と、言うて、どっこいしょどっこいしょと金仏さまを引きずってお庭の池へどっぽんと入れたってんがの。そうしたら金仏様は
「クタ。クタ。クタ。」
 と、言うて沈んでしもうたってんがの。いちごポーンとさけた。


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