本文へスキップ

富川蝶子さんのむかし話「藤三郎狐」

「藤三郎狐」 mukasi


富川蝶子

藤三郎狐

富川 蝶子

 あったてんがの。むかし見附の長坂に一匹の古狐が住みついてよう人を化かしているってんがの。それで何人もの若者が退治に出かけるどもみんな失敗しているがんだとの。ある日村の藤三郎という若者が 「俺が退治してみせる。」
 と、言うて鍋と帯を持って出かけて行ったってんがの。そうして長坂を歩きながらこう言うたっての。
「あらちのばさお寺参りに行ったがんだが、おそうならんばいいがない。バーサバーサ。」
 そうしたらばさに化けて古狐が出てきて
「おう、藤三郎だかや迎えにきてくいたかや。」
 と、言うすけ、藤三郎は
「あゝ迎えに来たで、俺に負われてくらっしゃい。」
 と、言うて狐のバサを帯でしっかり背中へしばりつけて鍋をかぶせて家へ帰ってきたってんがの。そうして家族を集めて
「ねえらや、俺が今日こそ狐をつかまえてきたど。おらとこのばさは家にいるがんに背中にもバサがいるろ。」
 と、言うたと。その大声でだまされたとわかったども狐はへえ後のまつりで火あぶりにされてしまったってんがの。だども火の勢いで縄の先が切れて古狐はやっとこせっとこ逃げだしたっての。だども村のはずれでとうとう死んでしまったってんがの。それで逃げるどき、一目散で走りながら
「この恨みでお前の家は三年の内に絶やしてくいるど。」
 と、言うたっての。その古狐のしわざだかどうだかはわからんども藤三郎の家は三年後に絶えてしまったってこんだいの。
 いちごポーンとさけた。


■「越後の昔話 名人選」CD(全11枚)の頒布について■

新潟県の民話名人選CD

越後の昔話名人選CD
 富川蝶子さんをはじめ、新潟県の名人級の語り手たちの昔話を収録したCDを頒布しております。
 越後の古老が地の言葉で語る貴重で楽しい物語。昔話って実はこんなに面白い!個性あふれる独特の語り口調が嬉しい、新潟県の名人語り部14人が語ります。まずは無料特別試聴を聞いてみよう!

越後の昔話名人選CDの内容・お申込み方法は、こちらから

ご感想について

この越後の昔話に関するご感想や類似した昔話をご記憶の方は、「お力添えのメール」で是非お聞かせください。


お勧め瞽女の本
ご購入 Amazon.co.jp







自動表示の宣伝

瞽女唄ネットワーク事務局

〒940-2145
新潟県長岡市青葉台2丁目
14-10 鈴木宏政方
電話 0258-46-8054

【ツイッター(おがた)】
@goze_kuzunoha