あったてんがの。むかし見附の長坂に一匹の古狐が住みついてよう人を化かしているってんがの。それで何人もの若者が退治に出かけるどもみんな失敗しているがんだとの。ある日村の藤三郎という若者が
「俺が退治してみせる。」
と、言うて鍋と帯を持って出かけて行ったってんがの。そうして長坂を歩きながらこう言うたっての。
「あらちのばさお寺参りに行ったがんだが、おそうならんばいいがない。バーサバーサ。」
そうしたらばさに化けて古狐が出てきて
「おう、藤三郎だかや迎えにきてくいたかや。」
と、言うすけ、藤三郎は
「あゝ迎えに来たで、俺に負われてくらっしゃい。」
と、言うて狐のバサを帯でしっかり背中へしばりつけて鍋をかぶせて家へ帰ってきたってんがの。そうして家族を集めて
「ねえらや、俺が今日こそ狐をつかまえてきたど。おらとこのばさは家にいるがんに背中にもバサがいるろ。」
と、言うたと。その大声でだまされたとわかったども狐はへえ後のまつりで火あぶりにされてしまったってんがの。だども火の勢いで縄の先が切れて古狐はやっとこせっとこ逃げだしたっての。だども村のはずれでとうとう死んでしまったってんがの。それで逃げるどき、一目散で走りながら
「この恨みでお前の家は三年の内に絶やしてくいるど。」
と、言うたっての。その古狐のしわざだかどうだかはわからんども藤三郎の家は三年後に絶えてしまったってこんだいの。
いちごポーンとさけた。
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