本文へスキップ

富川蝶子さんの昔話「ふくろうの染物屋」

「ふくろうの染物屋」 mukasi


富川蝶子

ふくろうの染物屋

富川 蝶子

 あったてんがの。昔々、大むかしはの、鳥はどの鳥でもみんなまっ白ながんだっけっての。それで何鳥だやらようわからないし、なんかきれいげな色とかもようみたいのをつけて一と目であれは鴬だ。とか雀だとかわかるようにしたらいいろうと思いついたのが、ふくろうなんだっての。そうしてふくろうが染物屋をはじめたっての。そうしたら鳥たちが順番に来て「おれは羽のどこは黄色にして頭はこの色にしてくれ。」「いや目のめぐらは白く残してくれなんか注文しては染めてもろて、でっこい鏡に写してみては喜んでいたがだってんがの。そうしてほとんどの鳥が染めあがったっての。どうしたこんだやらカラスが一番おしまいになってやって来たっての。
カラスってはばっかおしゃれの鳥のがだってんがの。そうしての、
「ふくろうどん、ふくろうどん。」とでっかい声で言うたっての。
「へぇみんなどの鳥も染めてもろたかや。」
と、聞いたっての。ふくろうが
「へぇ、たいていの鳥は染めたようだがの。」
と、言うたっての。カラスが、
「そうそば今までに誰もどの鳥も染めたことのない色にそめてくらっしゃい。」
と、言うんだんが、ふくろうが、
「頭とか羽とか足とかもそうするがんだかの。」
と、聞いたっての。カラスが
「はあ、めんどうでもそうしてくらっしゃい。」
「いや、めんどうなんてことはないどもさてな。」
なんか言うてふくろうは考えていたっけが、頭も羽も足もだれでも染めたことのない色といえばどの色だろかなあ。あゝそうだ、そうだあれがいいな。と思うて
「カラスどん、そうせばこのカメの中へ入ってくんなさい。」
と言うて一つの染めカメの中へカラスを入らせて、ふくろうはハケで頭と顔とかぬってくれて
「さあ、これでしまいだな。かわくまで待っていてくんなさい。」
と、カメから引っ張り上げたっての。カラスは喜んで
「さあて、どんげんきれげに染まったろうか。」と思ってかわくの待っていたっての。ふくろうがいいかんめいたら出てきて
「カラスどんカラスどん、へぇかわいたでの。こっちへ鏡があるが見てくんなさい。」
 と、言うすけ、鏡の前に行って見たればへぇたまげてしもうたっての。頭から足の先までまっ黒くろだってんがの。カラスはおこったおこった。それで今でもカラスはふくろう目の仇にして姿を見ればぼっかけるんだんが、ふくろうは昼まはかくれて夜になると出て遊ぶがだってんがの。
 いちごポーンとさけた。


■「越後の昔話 名人選」CD(全11枚)の頒布について■

新潟県の民話名人選CD

越後の昔話名人選CD
 富川蝶子さんをはじめ、新潟県の名人級の語り手たちの昔話を収録したCDを頒布しております。
 越後の古老が地の言葉で語る貴重で楽しい物語。昔話って実はこんなに面白い!個性あふれる独特の語り口調が嬉しい、新潟県の名人語り部14人が語ります。まずは無料特別試聴を聞いてみよう!

越後の昔話名人選CDの内容・お申込み方法は、こちらから

ご感想について

この越後の昔話に関するご感想や類似した昔話をご記憶の方は、「お力添えのメール」で是非お聞かせください。


お勧め瞽女の本
ご購入 Amazon.co.jp







自動表示の宣伝

瞽女唄ネットワーク事務局

〒940-2145
新潟県長岡市青葉台2丁目
14-10 鈴木宏政方
電話 0258-46-8054

【ツイッター(おがた)】
@goze_kuzunoha