むかしあったてが。ある山奥の村へ娘と婆さがいたてがの。今日も娘と婆さが争(あらそ)っていたと。
「男衆(おとこしょ)のまんなかにぶらさがっている棒(ぼう)はあら骨があるがっだか」
「いや骨なんかあるんだな」
といさけえしていたと。
「じゃあだれか男が来たら、触(さわ)ってみて決(き)めようて」
と話がまとまったと。ほうしたらちょうどそこへ男がきたてがの。
「お前さん、お前さん、助けの神だなんや。男の真ん中へぶら下がっているがんに骨があるかないかでもめているすけ、触らしてくれや」
と婆さまが男にたのんだと。初めに婆さまが男ののに触ったと。ほうしたら婆さまの言う通り骨がなかったと。こんだあ、娘が触ったら、もくもくと骨になっていったと。娘は喜んで、
「骨だ、骨だ」
といったと。娘も婆さまも
「ほんにまあ、男の真ん中にあるがんは珍しい棒だ」
といったと。これは珍棒といって、それでちんぼという名前がいまでも続いていると。そこでいきがぽんとさけた。
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