むかしあったと。あるどこに仲の悪い姑(しゅうと)と嫁(よめ)がいたと。雪の降る晩姑婆さは嫁に
「早寝れ、早寝れ」
というて寝かせたと。姑婆さは嫁を早く寝かせて、のか火(籾殻(もみがら)燃やす火)でぺらぺらと苧(お)を績(う)んでいたと。大割りにのか(籾殻)をちらちらかけながら、しんけんで苧を績んでいたと。つぐに朝、姑婆さが嫁に
「あねあね、おらよなべにのか火で八反績んだ」
といったと。ほうしたら嫁が
「おらくらっつま(暗闇)で九反績んだ」
と姑に言って、婆さまの前に出したと。婆さまはたまげて
「あねあね、いままで俺が悪かった」
といってそれから仲良くしてしんしょう(財産(ざいさん))を作ったと。いきがすぽんとさけた。
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