むかしあったそうな。六部がびっぼうの家にとめてもろうた。そこの家じゃ、婆さまが死んだろも、葬式の出しようがなかった。爺(じ)さまはおおごとがって、おやに頼みにいこうとして、六部に
「部屋の中で死んだ婆さまが『爺さいたか』というたら、『おお、いとう』というてくれや」
というて出ていったと。部屋の中で、死んだ婆さまが
「爺さいたか」
と聞くと、六部は、
「おお、いとう」
というたと。ほうしたら、婆さまが、
「爺さまの声じゃないねか」
と聞くんだが、六部はたまげて、体一つで逃げて出たと。あとの爺さまは、六部の置いていった荷物で、葬式終やすことができたと。これでいちがさけた。
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