昔あったそうな。小千谷の川端(かわばた)で魚釣(つ)りしている人がいたと。その魚釣りは、釣りあげると、そこで煮て食うがだと。そこへ方丈様が
「いたか」
というて来たと。
「ああいた」
と返事すると、方丈様が、
「ごしょう比べ(技くらべ)しよう」
とおいうがだと。魚釣りも承知(しょうち)して、二人でごしょう比べすることになったと。魚釣りは
「じゃ、おが魚の泳ぐどこ見てもろうか」
というて、よく煮た魚を水の中に投げると、ついついと泳いでいるがだと。方丈様の口から出た魚が、おちょうろう様(長老か?)になって、黒い着物来て上へのぼっていくがだと。ほうして方丈様がごしょう比べに勝ったと。いちがさけた。
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