とんと昔があったげろ。かえるとうさぎが二人寄って、出し合いして食うことにきめたと。そこでうさぎが、かえるに
「なあ、いったいなんがいっち好きら」
と聞くと、かえるは、
「餅(もち)がいっち好きら」
というたと。ほうしたらうさぎが、
「じゃ、餅でいいろも、ただの出し合いじゃ面白くねすけ、高い山のてっじょうで餅ついて、ほうしてそれを臼(うす)ぐちら下へころがりおとして、臼について下までいったがんが、その餅をいんな食っていいがんにしょうねか」
というたんだんが、かえるも承知したと。
山のてっじょうで餅ついて、臼ぐちらころがりおとしたと。うさぎは足が早いんだんが、臼のあとへついて下まで下りていったと。だろも、餅は臼の中から出て、株つにつっかえていて、下の臼の中はからっぽだったと。それをあとからおりていったかえるが拾うたと。うさぎは、山へもどると、かえるが、ひと臼餅を抱いて食っていたと、うさぎは、それを見て
「ふくふく、餅が下へさがるげな」
というと、かえるは、
「下から食おうげろ、上から食おうげろ、ふくが好きら」
というて一人で餅食っていたと。これでいきがすぽーんときれた。
■「越後の昔話 名人選」CD(全11枚)の頒布について■ |
|
越後の昔話名人選CD |
平成6年以来「語りつくし越後の昔話」と題して、瞽女唄ネットワークは新潟県下各地にお住いの名人級の語り手による昔話を聞く会を開催してきましたが、その録音テープを元に再編集したCDを販売しております。 優れた語り手による昔話は聞いて楽しいばかりでなく、民俗学的にも貴重な資料となっております。活字でしか接することが難しくなってきた昔話を、語り伝えられた土地の言葉でたっぷりとご堪能ください。 越後の昔話名人選CDの内容・お申込み方法は、こちらから |
この越後の昔話に関するご感想や類似した昔話をご記憶の方は、「お力添えのメール」で是非お聞かせください。