とんと昔があったげろ。秋山の聟(むこ)が、里の旦那様(だんなさま)から嫁をもろうたと。ほうして里の嫁のどこへ、一晩泊りにいぐことになったんだんが、嫁は心配して
「おらこは、家の新しいがん作ったすけ、そこの腰板(こしいた)を見て、節穴があいていたら『この節穴に柱かくし掛ければいいねか』というたいよ」
というてきかしたと。聟は里の新しい家によばれて、家の腰板を見たら、節穴があったんだんが、
「この節穴に柱かくしかけれやいいねか」
というたと。ほうしたらそこの家の衆が
「これは馬鹿だなんていうろも、馬鹿どこんじゃねえ」
というて、たまげたと。
そこの家に馬がいたと。聟は、またほめられるかと思うて、馬のしるっぽくるっとあげてみたら、けつの穴があいていたんだんが
「この節穴に柱かくしかけれやいいねか」
というたと、ほうして、やっぱり聟の馬鹿のことがわかったと。
これでいきがすぽーんときれた。
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