本文へスキップ

新潟県の民話がいっぱい!「おっかっか」

「おっかっか」 mukasi


おっかっか

八王子 中村ヒロ

 昔あったげだ。秋山の人が十日町から嫁もろうて、聟(むこ)が十日町へ呼(よ)ばれていってたと。十日町じゃ喜んで、おっかさんがぼたもちを作ってごっつぉしたと。そのつくるどこに子どもがいて、
 「かっか、おんにもくんねか」
というて、やかましいんだんが
 「これは、おっかっかというて、ねらは食わんねえがだ」
というて聞かしていたと。これを秋山の聟は寝床(ねどこ)の中で聞いていて
 「ここの衆(しょう)は、おっかっかなんかおれに食わして、殺そうとしているがだな」
朝げになって、家の衆はそのおっかっかをさわち(どんぶり)に山ほど盛(も)って、
 「さあ、いっぺえ食うてくんねか」
とすすめたども、聟は
 「いらん、いらん」
というて、食わんかったと。そこの家の衆は聟が遠慮(えんりょ)して食わんがだと思うて、それを重箱(じゅうばこ)に入れて、風呂敷(ふろしき)に包んでくれたと。聟はおっかねんだんが、
 「じゃあ、それを棹(さお)にいつけてくんねか」
と頼んで、長い竿(さお)につる下げて家へもどって来たと。
 峠の途中まで来ると、ぼたもちが竿からポトンと落って、二つに割れて、中の白い餅米(もちごめ)がめえたと。聟は、それを見て、おっかっかが口開けて、俺(おれ)を食おうとしているがだと思うて、足ですりつぶして逃げで来たと。ほうして家へ来て、嫁に、
 「お前どこの家の人は、俺を殺そうとして、おっかっかというがん食わそうとした」
というたと。嫁は、
 「おらこの衆は、お前にごっつぉしてくれようと思ってしたがんで、お前を殺そうとして食わせようなんてしねえごっつぉ」
というてきかせたと。いちがさらーんとさけた。


■「越後の昔話 名人選」CD(全11枚)の頒布について■

新潟県の民話名人選CD

越後の昔話名人選CD
 平成6年以来「語りつくし越後の昔話」と題して、瞽女唄ネットワークは新潟県下各地にお住いの名人級の語り手による昔話を聞く会を開催してきましたが、その録音テープを元に再編集したCDを販売しております。
 優れた語り手による昔話は聞いて楽しいばかりでなく、民俗学的にも貴重な資料となっております。活字でしか接することが難しくなってきた昔話を、語り伝えられた土地の言葉でたっぷりとご堪能ください。
 越後の昔話名人選CDの内容・お申込み方法は、こちらから

ご感想について

この越後の昔話に関するご感想や類似した昔話をご記憶の方は、「お力添えのメール」で是非お聞かせください。


お勧め瞽女の本
ご購入 Amazon.co.jp







自動表示の宣伝

瞽女唄ネットワーク事務局

〒940-2145
新潟県長岡市青葉台2丁目
14-10 鈴木宏政方
電話 0258-46-8054

【ツイッター(おがた)】
@goze_kuzunoha