とんと昔があったげろ。爺(じ)さは庭はいていたし、婆(ば)さは座敷(ざしき)はいていたと。ほうしると、どっかから豆が出て来たんだんが、爺さは煎って食うというし、婆さは種にしるというて、二人は、けんかになってしもうたと。そのうちに豆がころころところばって、穴の中ヘポトンとおってしもうたと。これは不思議なことがあればあるもんだと思うて、爺さもその豆について穴の中にはいっていつたと。そこへ入ってみると、ねずみがこめをついていて
「鬼でも蛇(じゃ)でもおっかんねえ。にゃあにゃあの音がおっかねえ」
と唄うて、ストトン、ストトンとこめついているんだと。そこで爺さが
「にゃあおん」
とねこのまねしると、ねずみはたまげて、すとすと逃げていってしもうたと。
ほうして、臼の中にあ銭(ぜに)がいっぺえ入っていたと。これで、いきがすぽーんときれた。
■「越後の昔話 名人選」CD(全11枚)の頒布について■ |
|
越後の昔話名人選CD |
平成6年以来「語りつくし越後の昔話」と題して、瞽女唄ネットワークは新潟県下各地にお住いの名人級の語り手による昔話を聞く会を開催してきましたが、その録音テープを元に再編集したCDを販売しております。 優れた語り手による昔話は聞いて楽しいばかりでなく、民俗学的にも貴重な資料となっております。活字でしか接することが難しくなってきた昔話を、語り伝えられた土地の言葉でたっぷりとご堪能ください。 越後の昔話名人選CDの内容・お申込み方法は、こちらから |
この越後の昔話に関するご感想や類似した昔話をご記憶の方は、「お力添えのメール」で是非お聞かせください。