むかしがあったと。あるところに、おくびょう者のとっつぁんがあったと。
毎晩(まいばん)毎晩夜中に、しょんべんこきに、てめいのかかさに頼んで連れていってもらってたと。そうしたら、そのかかさが、あんまる、毎晩だんだんが、ある晩、ゆうごう(ユウガオ)を持ってきて、とっつぁんが、小便所(しょうべんじょ)から出てくると、
「ほうら、とっつぁん、ぼけものだぞう」
とゆうごうを、とっつぁんのところへ投げてやったと。そうしたら、とっつぁんは、
「ああ、化(ば)けものだ」
と言うてゆうごうをだいたまま、そこで気絶(きぜつ)したとさ。ほうして気がついたときには、ゆうごうをだいていたとさ。そうしたら、かかさが、化けもんは、いんなゆうごうらというたと。とっつぁんは、
「化けもんは、いんなゆうごうだとしたら、おつゆのしんのみ(汁の実)のねえときは、いつも化けもんをおさえて、ゆうごうにしる」
というたとさ。
そうしてなあ、ある晩、一人で、ごうぎな、でっかいふろしきを持って、山の奥へ行ったと。そうしたらなあ一つ目が目を光らせて出たと。そうしたら、とっつぁんが、ごうぎなふろしきを広げて、
「なんだ、ばけもん、おれがふろしきで、くるっとつつんで家へ帰って、しんのみにして食ってやる」
といったんだと。そうして、ばけもんを、でっけえ、ふろしきでつつんだあと。
ふろしきかずいていったら、だんだん重くなってきたらあと。ほうして、あけて見たらいんな金(かね)らったらあっと。ほうしておくびょうもなおったらあと。
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