本文へスキップ

新潟県の民話がいっぱい!「あわとこめ」

「あわとこめ」 mukasi


あわとこめ

楢沢 高橋マス

 とんとむかしがあったと。ある家にあわという子が一人あって、その母親が死んで、その後妻(ごさい)にこめという子があったと。ほうして毎日でこ(そんなに)かわいがるもしねえろも、二人を栗(くり)拾いにやったと。あわには、あわの団子こしょうて、へいる(昼飯)にあつけてやる、こめにはこめの団子(だんご)こしょうてあつけてやったと。ほうして、あわにはけつ(底)に穴のあいた袋(ふくろ)をあつけて(もたせて)やる、こめにはけつに穴のあかね袋あつけてやったと。ほうしてこめは、袋が穴あいていねんだんが、ひっとっつ(いっぱい)になったろも、あわは拾うてもまたしちゃ(ときどき)落とすんだんが、いっこうたまらんで、日が暮れてしもうたと。二人して、家に帰ってくると、母親があわに
 「こめは、なあより、小さいがんに、なあはこめより栗拾いでね(拾われない)」
というて、なじょんかおめた(怒った)と。
 ある日、二人があんまる仲がいいんだんが、殿様(とのさま)が通りかかって、どちらか嫁(よめ)にもらいたいと頼(たの)んだと。こめをもらわんと母親の機嫌(きげん)が悪いんだんが、歌を作って上手(じょうず)のがんもろうことになったと。ちいとめて(少したって)から、殿様が盤(ばん)のいべ(上)に松飾(かざ)って、皿に塩を盛(も)って、二人に歌作ってみれというたと。母親は、自分の子にいっちさき歌を作らせたと、こめは、

ようべこいたねこの糞は、水けらって、けらって今朝こいたねこの糞は  いきがほやほや
とよんだと。こんだあわが、
盤皿(ばんさら)や皿塩山(さらしおやま)に雪降りて雪を根として育つ松かな
と歌ったんだんが、殿様は、あわを嫁にもろうことになったと。これでいきがすぽーんとさけた。


■「越後の昔話 名人選」CD(全11枚)の頒布について■

新潟県の民話名人選CD

越後の昔話名人選CD
 平成6年以来「語りつくし越後の昔話」と題して、瞽女唄ネットワークは新潟県下各地にお住いの名人級の語り手による昔話を聞く会を開催してきましたが、その録音テープを元に再編集したCDを販売しております。
 優れた語り手による昔話は聞いて楽しいばかりでなく、民俗学的にも貴重な資料となっております。活字でしか接することが難しくなってきた昔話を、語り伝えられた土地の言葉でたっぷりとご堪能ください。
 越後の昔話名人選CDの内容・お申込み方法は、こちらから

ご感想について

この越後の昔話に関するご感想や類似した昔話をご記憶の方は、「お力添えのメール」で是非お聞かせください。


お勧め瞽女の本
ご購入 Amazon.co.jp







自動表示の宣伝

瞽女唄ネットワーク事務局

〒940-2145
新潟県長岡市青葉台2丁目
14-10 鈴木宏政方
電話 0258-46-8054

【ツイッター(おがた)】
@goze_kuzunoha