とんとむかしがあったと。ある家にあわという子が一人あって、その母親が死んで、その後妻(ごさい)にこめという子があったと。ほうして毎日でこ(そんなに)かわいがるもしねえろも、二人を栗(くり)拾いにやったと。あわには、あわの団子こしょうて、へいる(昼飯)にあつけてやる、こめにはこめの団子(だんご)こしょうてあつけてやったと。ほうして、あわにはけつ(底)に穴のあいた袋(ふくろ)をあつけて(もたせて)やる、こめにはけつに穴のあかね袋あつけてやったと。ほうしてこめは、袋が穴あいていねんだんが、ひっとっつ(いっぱい)になったろも、あわは拾うてもまたしちゃ(ときどき)落とすんだんが、いっこうたまらんで、日が暮れてしもうたと。二人して、家に帰ってくると、母親があわに
「こめは、なあより、小さいがんに、なあはこめより栗拾いでね(拾われない)」
というて、なじょんかおめた(怒った)と。
ある日、二人があんまる仲がいいんだんが、殿様(とのさま)が通りかかって、どちらか嫁(よめ)にもらいたいと頼(たの)んだと。こめをもらわんと母親の機嫌(きげん)が悪いんだんが、歌を作って上手(じょうず)のがんもろうことになったと。ちいとめて(少したって)から、殿様が盤(ばん)のいべ(上)に松飾(かざ)って、皿に塩を盛(も)って、二人に歌作ってみれというたと。母親は、自分の子にいっちさき歌を作らせたと、こめは、
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