野嵜久次氏の所蔵資料「瞽女口説地震の身の上」６です。

「瞽女口説地震の身の上」６

茶間女にて手水湯のらせ 肴なければ喰う事かなうの寝酒呑む 吸物付る御用私用の其のわけなくに 他行すること馬駕籠とりて うちの奢りは公家もならぬ 地頭役人御出があれば 休立立寄り昼宿泊り 人も頼ぬ頼を立て

宿引請其もの入は 諸色万雑五玉かけて 合の勘定を無躰に合せ 出金役人年中の 萬雑分けて近年多分にかかる 小前百姓は出金こまる 庄屋利安の金をば借りて

前の頁(5) ← 目次 → 次の頁(7)

「瞽女口説地震の身の上」解説

三条地震と「瞽女口説地震の身の上」
文政11年（1828年）11月12日朝8時ころ、信濃川流域の長岡・三条・燕付近に、マグニチュード6.9の直下型地震が発生しました。震源は栄町芹山付近とされ、被害は信濃川に沿う長さ25キロに及ぶ楕円型の地域で、三条・燕・見附・今町・与板などはほとんど全壊しました。死者1,500人余、全半壊21,000軒余、火災で焼失した家1,200軒余という大きな地震でした。
三条の被害が最も激甚であったことから「三条地震」と呼ばれ、江戸では地震を速報したかわら版が発行されました。この瞽女口説は、この大地震の災害にかんがみて、社会、世相の頽廃ぶりを揶揄、批判したもので、加茂矢立(やたて)新田の里正・斎藤真幸が地震の翌年に書きつづり、瞽女口説として刊行しました。これが諸方に伝わり、手書きして歌い、口ずさむ者もありました。

情報に関するお問い合わせについて

この情報に関するお問い合わせは、「お力添えのメール」でお気軽にどうぞ。
「お問い合わせ内容」に瞽女口説地震の身の上についてと書いてから、ご用件をお書きください。