あったてんがの。昔々、大むかしはの、鳥はどの鳥でもみんなまっ白ながんだっけっての。それで何鳥だやらようわからないし、なんかきれいげな色とかもようみたいのをつけて一と目であれは鴬だ。とか雀だとかわかるようにしたらいいろうと思いついたのが、ふくろうなんだっての。そうしてふくろうが染物屋をはじめたっての。そうしたら鳥たちが順番に来て「おれは羽のどこは黄色にして頭はこの色にしてくれ。」「いや目のめぐらは白く残してくれなんか注文しては染めてもろて、でっこい鏡に写してみては喜んでいたがだってんがの。そうしてほとんどの鳥が染めあがったっての。どうしたこんだやらカラスが一番おしまいになってやって来たっての。
カラスってはばっかおしゃれの鳥のがだってんがの。そうしての、
「ふくろうどん、ふくろうどん。」とでっかい声で言うたっての。
「へぇみんなどの鳥も染めてもろたかや。」
と、聞いたっての。ふくろうが
「へぇ、たいていの鳥は染めたようだがの。」
と、言うたっての。カラスが、
「そうそば今までに誰もどの鳥も染めたことのない色にそめてくらっしゃい。」
と、言うんだんが、ふくろうが、
「頭とか羽とか足とかもそうするがんだかの。」
と、聞いたっての。カラスが
「はあ、めんどうでもそうしてくらっしゃい。」
「いや、めんどうなんてことはないどもさてな。」
なんか言うてふくろうは考えていたっけが、頭も羽も足もだれでも染めたことのない色といえばどの色だろかなあ。あゝそうだ、そうだあれがいいな。と思うて
「カラスどん、そうせばこのカメの中へ入ってくんなさい。」
と言うて一つの染めカメの中へカラスを入らせて、ふくろうはハケで頭と顔とかぬってくれて
「さあ、これでしまいだな。かわくまで待っていてくんなさい。」
と、カメから引っ張り上げたっての。カラスは喜んで
「さあて、どんげんきれげに染まったろうか。」と思ってかわくの待っていたっての。ふくろうがいいかんめいたら出てきて
「カラスどんカラスどん、へぇかわいたでの。こっちへ鏡があるが見てくんなさい。」
と、言うすけ、鏡の前に行って見たればへぇたまげてしもうたっての。頭から足の先までまっ黒くろだってんがの。カラスはおこったおこった。それで今でもカラスはふくろう目の仇にして姿を見ればぼっかけるんだんが、ふくろうは昼まはかくれて夜になると出て遊ぶがだってんがの。
いちごポーンとさけた。
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